中学受験を目指す子供の最適な睡眠時間は?我が子は睡眠不足?
中学受験生の子を持つ親にとって、愛する我が子が睡眠不足とならないように、睡眠時間は絶対に確保してあげたいところです。
ところが実際には、塾の宿題、苦手の克服、迫るテストの対策などなど、アレもやらなければならないコレもやらなければならないで、気がついてみると犠牲になっているのは子供の睡眠時間で、すでに睡眠不足が慢性化、などということも起きてしまいがちです。
今回の記事では、小学生の睡眠時間についての情報を整理しつつ、以上のような疑問を少しでも解決すべく、解説いたします。
睡眠が不足すると?
詳しいことは専門家に任せたいと思いますが、広く一般的によく言われることをまとめてみました。
どこかでなんとなく聞いたことがあることばかりだと思います。
集中力が低下し、記憶の定着が悪くなる
第一に、睡眠不足により集中力が低下します。集中力が低下すると、記憶の定着が悪くなることにつながります。
記憶の定着が悪くなるということは、学習効率が落ちてしまいます。「今日は3時間も勉強した!」といいつつ、眠くないときに勉強すれば1時間で済んでいたのに、ということもあるかもしれません。
睡眠中に記憶が整理されるという話もしばしば耳にしますね。机に向かっている時間だけが勉強ではないという考え方もできそうです。
一番大変なパターンとして、学習がはかどらないどころか、イライラしてしまって親や兄弟姉妹にたいしても当たり散らすなどということも考えられます。
それを見て親が「八つ当たりしないの!」などと、つい言ってしまうと、目も当てられない状況になってしまいます。
疲れやすくなり、風邪をひくなど健康を損ない、成長にも影響
第二に、睡眠不足による健康への影響があげられます。
私たちは、専門家でなくても、睡眠不足は不健康につながることをなんとなく知っています。
受験期に体調をくずすのはもちろん誰でも警戒すると思いますが、4年生でも5年生でも、風邪などで数日勉強ができなくなると、スケジュールが崩れてしまい、取り戻すのが結構大変です。
つらいのは子供なのですが、親は「まずいまずい、明日には健康になってもらわないと!」「ちょっと熱があるくらいなら勉強できる!」などと考えてしまうかもしれません。
また、成長ホルモンの分泌などにも影響するため、十分な睡眠時間をとらないと身長が伸びないとも言われますね。
私は小学生、中学生の成長期に9時間くらいは寝ていて、結局平均よりわずかに高い程度の身長なので「遺伝じゃないの?」という気もしますが、寝ていなかったらもっと低かったかもしれず、気になるところではあります。
自分のことならまだしも、自分の子供のことですから取り返しのつくことではなく、より気にしたくなりますね。
ということで、どう考えても、睡眠不足はいいことがなさそうです。
授業中に眠くなってしまい、本末転倒になってしまう
第三に、授業で勉強する内容にも影響が出てしまうおそれがあります。
塾の授業はどの教科も簡単ということは少ないです。授業の内容を授業中に全部・・・とは言わないまでも、ある程度はきちんと理解しておかないと、それを理解するのにまた睡眠を削ることになってしまうかもしれません。
塾だけではなく、学校も同じではないかと思います。
中学受験塾で勉強していると、特に主要教科は内容を理解できないということはないかもしれません。しかしながら、わかっているからと言ってきちんと先生の授業を聞かなくてもいいと言い切るのは、親としてはかなり抵抗があるでしょう。
小学校で学ぶのは必ずしも勉強だけではなく、人として大事なことも含まれますから、やはり学校の授業も大事にしたいところです。
やはり塾でも学校でも授業は大切にしたく、睡眠不足にはデメリットが多そうです。
みんなはどれくらい寝ているの?
探すといろいろデータが出てくるもので、文部科学省、内閣府、学研、聖光学院のデータをここでは取り上げることにしました。文部科学省と内閣府のデータは出典をかけば転載可ということなので、直接示しています。
文部科学省のデータ
まずは文部科学省の「睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果」。調査対象を全国とした2014年のデータで、5年生と6年生でそれぞれ2,300~2,400人のデータです。
こちらは、翌日に学校がある日の起床時刻、何時ごろに起きているかを示しています。
中学受験しない子も含まれていますが、6時半前に起きる子が4割、7時前までに起きる子とすると8割になります。
中学受験をする子で朝に1時間程度勉強しようとすると、6時から6時半くらいには起きることになるのかなと思います。
次は、翌日に学校がある日の就寝時刻、何時ごろに寝ているかを示すグラフです。
これも中学受験しない子も含まれていますが、10時前に寝る子が5割、11時前までに寝る子までとすると8割になります。
朝に1時間程度勉強しようと、6時に起きようとしたとき、10時に寝れば8時間睡眠ですが、11時に寝ると7時間睡眠になってしまいます。
それで、気になるのは、このうちどれだけの子が中学受験するの?ということです。
図表を読み勧めていくと学習塾に通っている頻度のデータがありました。「全体」から「通っていない」を引くと、塾に通っている子の人数がわかります。
「塾に通う=中学受験する」とは言い切れないですが、塾に通っている子はだいたい3分の1くらいかなというところです。つまり、データのうち3分の2くらいは私達にとってはノイズのようなものなので、注意しなければなりません。
中学受験しない子のうち、中には夜遅くまで本やテレビやゲームなど趣味を楽しんでいる子もいるかもしれませんが、必要に迫られてということもあり、やはり中学受験の勉強を頑張っている子のほうが、夜遅くまで起きている傾向があるのではないかと思います。
すると、これまでのデータの割合を俯瞰して眺めてみると、中学受験を頑張る子は、ざっくり10時前後以降に寝て、6時から7時くらいに起きる子が多いのでは?と思います。
朝勉強しようとすると10時に寝て8時間睡眠とれればというところですから、小学生の睡眠が8時間で足りるかという問題は残りますが、8時間寝ていれば、中学受験を目指す子としては、割りと寝ることができているといえるのではと思います。
内閣府のデータ
次は内閣府の「平成27年版 子供・若者白書(リンク切れ)」です。大元は総務省「社会生活基本調査」らしいですが、由緒正しいデータだろうということで深いりはやめておくため、調査対象がいまいちよくわかりませんが、「第1部 子供・若者の状況、第6章 生活行動・意識、第1節 生活行動」とたどると、子どもたちの平均起床時刻と就寝時刻を確認できます。
文部科学省のデータと同様に、中学受験勉強をしているのかしていないのかわかりませんが、小学生が10歳以上となっていて、平均の起床時間が6時40分くらいとなっています。
こちらは平均の就寝時間で、小学生はだいたい10時くらいですね。
10時に寝て6時40分に起きると睡眠時間は8時間40分となりますので、このなかに中学受験しない子もたくさん含まれる事を考えると、8時間寝ることができる中学受験生活であれば、それなりに健全ではないかと思えてきます。
学研のデータ
3つ目は「学研教育総合研究所の小学生白書」です。こちらは全国を対象としていて、データとしては最も新しく2021年の調査です。
5年生と6年生200人ずつのデータとなっていて、このなかには中学受験しない子も含まれていますが、習いごとのデータの表から、このうち3割程度が学校の補習のための塾か、受験のための塾に通っていることがわかります。
転載は不可のようなのでグラフを読み取った結論だけ書くと、以下のようになっていました。
9時までに寝る | 10時までに寝る | 11時までに寝る | |
5年生 | 2割 | 5割 | 8割 |
6年生 | 2割 | 5割 | 8割 |
上の表は就寝時刻です。これまでのデータと同様に、やはり中学受験の勉強を頑張る子は、10時から11時に寝ている子が多いのではないかと思います。
6時までに起きる | 7時までに起きる | |
5年生 | 3割 | 7割 |
6年生 | 4割 | 8割 |
こちらは起床時刻です。起きるのは6時から7時ですね。
やはり、朝勉強しようとすると、頑張って8時間睡眠、7時間睡眠も割りと普通?というところになってきます。
聖光学院のデータ
最後に、神奈川御三家の1つ、「聖光学院」のデータです。
こちらは聖光学院中学校・高等学校の公式ホームページから、学校説明サイトへ進み、学校紹介資料から閲覧できます。そして、この中の新入生アンケート結果のなかで、「小学6年時の就寝時間は?」についての解答を確認することができます。古いデータはGoogle検索から直接閲覧です。
文部科学省、内閣府、学研のデータでは深読みしませんでしたが、これまでのデータでも11時になっても寝ない子が一定程度いることが示唆されていました。
10時までに寝る | 11時までに寝る | 12時までに寝る | |
2021年入学 | 2割 | 5割 | 3割 |
2020年入学 | – | – | – |
2019年入学 | 2割 | 4割 | 3割 |
2018年入学 | 1割 | 4割 | 4割 |
ところが、こちらでは聖光学院に入学した6年生時のデータに偏っているとはいえ、「10時に寝るなんて早すぎでしょ」と言わんばかりで、思わず「!!!!!」となるデータとなっています。
11時に寝ると、朝勉強しないとして7時に起きると8時間睡眠を確保可能ですが、12時に寝ると8時間睡眠はかなり厳しいですね。
同偏差値帯の学校を目指す子たちは、同じような就寝時間の分布になっているような気がしてならず、これまでのデータとはだいぶ違った結果となっています。
8時間寝ていたら、健全どころか寝すぎ?という考えが浮かんでくる結果でした。
結局、みんな何時間寝てるの?
正直、よくわかりませんが、聖光学院の衝撃的なデータも後押しとなり、やはり、8時間寝ていればだいぶ健康的な方ではないかと思います。
本気で調べたい場合、ピンポイントでGoogleで検索すると、Yahoo知恵袋やらインターエデュやらで個人レベルの情報を集められます。それぞれはN=1かもしれませんが、かき集めるとそれなりなデータになる・・・かも?
我が子にとっての最適な睡眠時間は?
ここまで引っ張っておいてなんですが、他の子がどれだけ寝ているかというのは、実は重要ではないかもしれません。
体の成長は気になってしまいますが、子供が「6時間でも平気!全然眠くない!もっと勉強したい!」というのであれば、「いや、8時間寝なさい!」と言いづらいですね。
逆に、「8時間寝ても、いつも眠い・・・」と言われると、きっともっと睡眠時間を確保することも考えた方がいいのでしょう。娘の通う早稲アカは5年生では他塾より拘束時間が長く授業が20時半まで、6年になると逆転してサピックスと日能研が21時までとなり、いずれの塾でも拘束時間や宿題などを考えると物理的に限界もありますが。。。
ということで、「子供の様子を見ながら、学習効率が悪くならないし体調を崩さない程度の睡眠時間を把握し、確保する」、というのが重要なのだと思います。
私の娘の場合、娘が小学2年生の半ばごろから中学受験を考え始めたわけですが、いろいろと調べた結果として、かなり早い段階で娘の最終的な理想睡眠時間を8時間に設定しました。より具体的には、3年生で9時間、4年生で8時間半、そして5年生と6年生で8時間としました。
6年生で8時間睡眠を続けられるかわかりませんが、今のところは順調に計画どおり進んでいます。まれに授業や夜に眠くなることがあるようですが、夕方や休日に昼寝を促してもそこまでではないようで、こんなものかなと思っています。
今回の記事が、なにかしらみなさまの参考になれば幸いでございます。
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