中学受験で学費が免除される特待生とは?首都圏の対象校例とメリット・リスクを保護者目線で徹底解説

中学受験を調べていると、「特待生」「授業料免除」といった言葉を目にすることが増えてきたと感じます。学費が高い私立中学校だからこそ、特待生制度で負担が軽くなるなら前向きに検討したいという保護者の方も多いのではないでしょうか。一方で、「どのくらいの成績なら現実的なのか」「特待を狙って受験校を決めていいのか」といった不安もつきまといます。



この記事では、塾の特待ではなく、私立中学校が独自に設ける特待生制度に絞って、しくみやメリット・リスク、首都圏の具体的な学校例までまとめていきます。私自身、長女の中学受験で前受け校から複数年の全額免除特待をいただいた経験があり、親として感じたことも正直に書いていきたいと思います。
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中学受験における特待生制度とは?
私立中学校が設ける特待生の基本イメージ
中学受験でいう「特待生」は、入試成績などが優秀な受験生に対して、入学金や授業料の一部または全部を免除する制度を指します。学校側が「この子にぜひ入学してほしい」と考える受験生に対して、学費面での優遇を行うイメージです。対象になるのは上位合格者のごく一部で、募集要項には「特待合格者若干名」といった書き方をされていることも多いです。
また、「特待生」という名称ではなく「奨学生」「スカラシップ」などと呼ばれるケースもありますが、学費等が軽減されるという意味では大きな枠組みは同じと考えてよいと思います。
免除されるのは入学金・授業料だけではない
特待生制度で対象となる費用は、学校によってかなり幅があります。代表的なのは以下のようなものです。
- 入学金
- 授業料(全額または一部)
- 施設費・設備費・維持費
- 一定額の奨学金(給付型)
中には、「入学金+施設費+3年間の授業料が全額免除」といった非常に手厚い制度を用意している学校もあります。一方で、「入学金相当額のみ免除」「初年度の一部費用のみ免除」といった、比較的ライトな特待もあります。大切なのは、「特待生」とひとことで言っても内容は本当にさまざま、という点です。
誰が対象になるのか(学力・人物・その他)
特待生の多くは、筆記試験(学力)での高得点者が対象になります。四科型・三科型・適性検査など、どの科目で判定するかは学校ごとに異なりますが、「合格最低点を大きく上回る得点を取っていること」が前提になることが多いです。
それに加えて、面接や調査書、作文などで人物面も総合的に評価されるケースもあるようです。学校によっては、スポーツや芸術の実績、英検などの資格を条件に含める場合もあります。いずれにしても、「学力だけを見て機械的に決める」というより、学校が求める生徒像に合うかどうかも含めて判断されている印象があります。
特待生と奨学生・スカラシップの呼び方の違い
募集要項を見ると、「特待生」「奨学生」「スカラシップ生」など、さまざまな名前が出てきて戸惑うかもしれません。一般的には、
- 特待生:入試成績などによる学費免除・減免が中心
- 奨学生:給付型の奨学金を受け取るイメージ(減免と併用のことも)
- スカラシップ:学校独自の名称で、内容は特待・奨学のいずれか
といった使い分けをしている学校が多いように感じます。とはいえ、名称よりも「何がどれだけ免除・給付されるか」を具体的に確認することが重要です。
首都圏で特待生制度を設ける主な中学校例
各地で中学校の特待制度が見られる
首都圏には、特待生制度を設けている学校が少なくありません。たとえば、
- 東京女子学院
- 藤村女子
- 中村中学校
入学金や施設費に加えて、3年間分の授業料が全額免除になるような手厚い特待枠を設けている年度もあったり、
- 秀明八千代中学校
- 西武台千葉中学校
などの学校では、高額の奨学金給付や、入学金・施設費の全額または半額免除といった制度が見られます。
こうした学校は、偏差値帯としては「中堅校」クラスに位置づけられることが多いようですが、特待で入学できれば実質的な学費負担が公立並み、あるいはそれ以下になる可能性もあるのが大きな魅力です。
中堅以上の人気校の例
少し偏差値帯が上がると、例えば千葉県の市川中学校や昭和学院などが、特別奨学生・特待生として入学金や授業料・施設費の免除制度を設けている年度があります。
また、日出学園では、初年度の費用が大幅に軽減される制度に加え、3年間・6年間といった長期の免除や給付を用意していることもあります。
このあたりの学校になると、もともとの人気も高いため、特待枠の倍率はかなり高くなると考えておいた方がよいと思います。「通常合格なら現実的だけれど、特待はかなりハードルが上がる」というイメージです。
埼玉の進学校として有名な栄東中学校も、入試成績上位者を対象にした学費減免制度を設けている年度があります。内容や対象入試は年度によって変わるものの、難関校を志望する受験生にとっては「チャレンジしておきたい特待枠」と感じる方も多いのではないでしょうか。
偏差値が高い学校ほど「全額免除」よりも「一部減免」や「1年間のみ」といった形になる傾向がある印象ですが、いずれにしても、年間の授業料が高い学校ほど、一部の減免であっても家計へのインパクトはかなり大きいと感じます。
具体的な学校名は必ず最新情報を確認する
ここまで挙げた学校名は、あくまで「特待生制度を設けている例」として紹介したもので、制度内容や名称、対象入試は毎年見直されるのが普通です。
- 免除される金額
- 適用年数(1年間のみか、継続審査付きか)
- 対象となる入試日程・試験科目
- 成績基準や人数
などは、最新の募集要項や学校説明会の資料で必ず確認することをおすすめします。保護者としてはつい「数字」だけを見てしまいがちですが、学校が特待生に何を期待しているのかも含めて理解しておけると安心です。
特待生制度のメリットと注意点
家計面でのインパクトと心理的な安心感
特待生で入学できた場合の一番のメリットは、やはり学費負担が大きく軽くなることです。入学金や授業料の全額免除となれば、6年間トータルで数百万円単位の差になることもあります。
家計にとってはもちろん、「これだけがんばってくれたから、無理なくこの学校に通わせてあげられる」という心理的な安心感も大きいと感じます。私自身も、前受け校から複数年の全額免除特待をいただいたとき、進学するつもりはなかったものの、「ここまで頑張ってきてよかった」と心からほっとしたのを覚えています。
成績維持の条件とプレッシャー
一方で、多くの学校では、在学中に一定以上の成績を維持することが特待継続の条件になっています。学年ごとの成績や評定、生活態度などを総合的に見て、「条件を満たさない場合には特待取り消し」といったルールが明記されているケースもあります。
このため、入学後も常に上位をキープするプレッシャーを感じやすい点は、デメリットとも言えます。特に、難関校で周りのレベルが非常に高い場合、真面目なタイプのお子さんほど「特待を失いたくない」と自分を追い込みすぎてしまうこともあるかもしれません。
学校側が特待生に期待していること
学校側にとって特待生は、ある意味で「学校の顔」のような存在として期待されていると思って良いかもしれません。学力面でリードすることはもちろん、部活動や行事での活躍、進学実績など、さまざまな場面で貢献してくれることを期待しているはずです。
そのぶん、日々の生活態度や周囲への影響力も含めて見られていると思った方がよいでしょう。「特待だから優遇される」というよりは、むしろ「特待だからこそ期待に応えたい」と前向きに受け止められるタイプのお子さんに向いた制度だと感じます。
「特待ありき」で志望校を選ばないために
特待生制度には大きな魅力がありますが、「特待があるからこの学校にする」という逆転した選び方には注意が必要です。
- 子どもが本当に通いたいと感じるか
- 校風や教育方針がお子さんに合っているか
- 通学時間や部活動など、6年間の生活をイメージできるか
といった点を最優先にしつつ、特待制度はあくまで「プラスαの要素」として考えるくらいがちょうどよいのかなと、個人的には思います。
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特待生合格を現実的な選択肢にする準備
受験戦略としてどのタイミングで意識するか
特待生を「狙う」のかどうかは、受験学年に入る前から家庭で方針を共有しておくとブレにくいです。たとえば、
- 第一志望校は特待の有無に関わらず選ぶ
- 前受け校や併願校の中に、特待制度のある学校をいくつか入れておく
- 特待が取れたら「経済的にかなり助かるセーフティ校」として選択肢に入れる
といった考え方が現実的だと思います。いきなり6年分全額免除を目指す、というより「取れたらうれしいボーナス」くらいのスタンスが、親子ともに気持ちが楽です。
過去問・入試結果からボーダーラインを把握する
特待を視野に入れるなら、過去の入試結果・合格者データをできるだけ集めることが重要です。学校によっては、
- 特待合格者の人数
- 特待合格の目安偏差値
- 総合型・科目別の判定方法
などを公開しているところもあります。公開されていなくても、説明会や個別相談で質問すると教えてもらえることもあります。
もちろん、毎年の難易度は変動しますが、「普通合格」と「特待合格」の間にどの程度の差があるのかを、大まかでも把握しておくと、受験勉強の目標設定がしやすくなります。
前受け校でのチャレンジという考え方
わが家の場合、長女が受験した前受け校の一つで、たまたま複数年の授業料全額免除という、最高ランクの特待合格をいただきました。もともと本番慣れのための受験で、進学はまったく考えていなかった学校だったのですが、結果を見たときは親の方が驚きました。
そのときに強く感じたのは、「実力がついていれば、特待は結果としてついてくるもの」ということです。特待を意識しすぎるより、まずは志望校合格に向けて土台となる学力をしっかり積み上げていくことが、結局は一番の近道なのだと思います。
塾選び・模試活用と特待制度の情報収集
特待制度のある中学校を効率よく見つけるには、塾や模試の情報を積極的に活用するのもおすすめです。大手塾の多くは、受験結果のデータをもとに、どの学校にどのくらい特待枠があるか、ある程度把握している場合があるようです。
なお、塾そのものの特待制度については、別の記事で詳しく整理しています。塾の授業料を抑えるための特待を検討している場合は、
といった記事もあわせて読んでいただくと、「塾の特待」と「学校の特待」を分けて考えやすくなると思います。
わが家の体験と特待制度との距離感
長女が複数年全額免除の特待をいただいたときの気持ち
先ほど少し触れましたが、長女は前受け校の一つで、複数年の授業料全額免除という最高ランクの特待をいただきました。発表画面で「特待」の文字を見たとき、本人も私も「え、本当に?」という感じでしばらく固まってしまったのを覚えています。
その学校に進学する予定はなかったとはいえ、「どこか一つでもこうして認めてくれる学校がある」という事実は、本命校の受験に向けて大きな自信になりました。特待制度は、家計だけでなく、子どもの自己肯定感という面でも意味があるのだと感じました。
それでも第一志望は特待制度のない学校にした理由
一方で、長女が最終的に進学したのは、特待制度のない学校でした。そこは学費も安くはなく、6年間の総額を見て親の方がドキドキしたくらいです。それでもその学校を選んだのは、
- 学校説明会や文化祭で娘が「ここに通いたい」と心から思っていたこと
- 校風や生徒さんの雰囲気が、娘の性格にとても合っていると感じたこと
- カリキュラムや進路指導が、家庭の方針と一致していたこと
といった理由からです。「学費の安さよりも、6年間の毎日をどこで過ごすかを大事にしたい」というのが、最後に家族で出した結論でした。
「受かったらラッキー」くらいのスタンスがちょうどいいと感じたこと
こうした経験から、今振り返って思うのは、特待制度は「受かったらラッキー」くらいの距離感が、親子ともに健康的だということです。最初から「絶対に特待で行かないと通えない」と思い詰めてしまうと、受験勉強そのものが苦しくなってしまいます。
むしろ、
- まずは行きたい学校に合格することを第一目標にする
- 併願校の中に、特待制度のある学校をいくつか入れておく
- 結果として特待が取れたら、学校選びの選択肢が一つ増える
というスタンスの方が、子どもも保護者もポジティブな気持ちを保ちやすいと、個人的には感じています。
家庭ごとの価値観を整理しておく
最後に大切だと思うのは、家庭ごとの価値観や優先順位を、早めに整理しておくことです。
- 多少学費がかかっても「この学校なら通わせたい」と思えるか
- 学費を抑えるために、校風や通学時間の条件をどこまで広げられるか
- 兄弟姉妹の人数や将来の教育費も含めて、どのラインまでなら無理がないか
こういったことを夫婦でじっくり話し合っておくと、特待合格の通知を受け取ったときにも、冷静に「わが家にとってのベストな選択」を考えやすくなります。
まとめ
特待生制度は、学費面の大きな負担を軽くしてくれる心強い仕組みであり、首都圏には偏差値帯の異なる多くの私立中学校が独自の制度を設けています。一方で、内容や条件は学校ごと・年度ごとに大きく異なるため、最新の募集要項や説明会での情報収集は欠かせません。
また、特待で入学した場合には、在学中の成績維持や学校からの期待に応えるプレッシャーがかかることも事実です。家計面のメリットだけで判断するのではなく、お子さんの性格や学校との相性、6年間の学校生活のイメージまで含めて総合的に考えることが大切だと思います。
何よりもまず大前提として、「子どもが納得して通える学校に合格すること」が第一です。そのうえで、前受け校や併願校の中に特待制度のある学校を上手に組み込み、特待生合格は「取れたらうれしいおまけ」くらいの感覚で付き合っていくのが、親子にとって一番健全な距離感なのではないかと感じています。
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