子供の中学受験の勉強へのやる気を引き出すには?モチベーションに関する理論も一緒に考えてみる(前編)
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リクエストいただいたため、子供のやる気、いわゆるモチベーションについて考えてみました。
娘は小学4年生になり、早稲田アカデミーにも通うようになり、いまのところ成績も比較的良好で、勉強すること自体は全く苦でなくなく、むしろ楽しんでいるように見受けられます。しかしながら、低学年時はもちろんそんなことはありませんでした。
子供に勉強を頑張って欲しいのに、子供は遊びのことで頭がいっぱい。よくある話だと思います。小学4年生はもちろん、いよいよ本格化してくる小学5年生になっても、あるいは受験生のはずの小学6年生になっても勉強に見向きもせず、テレビ、ゲーム、Youtubeへの興味が尽きない。そんな話は珍しくない気がします。特に男の子は、どこにもやる気スイッチがないとか普通で、とても大変だとか。
ということで、特に低学年時ですが、娘に振り向いてもらえるように、色々と調べたり考えたことを、リクエストいただいたことを機に、まとめてみることにしました。
が、頭の中にはいろいろあるものの、まとめようとすると結構難しいものでした。。。というか、やる気のない子供のモチベーションアップについて、私の娘のことを全面に出してもあまり参考にならないと思い、なるべく一般化して考えをまとようとしてみると、「いや、あれも大事か」「いやいや、これが大事だ」とか考え始めたら、とまらなくなって書きすぎてしまいました。MBAの組織論で学んだ話なんかも入ります。これだけ書いて前編とか。。。
ということで、長くなってしまったので、やる気・モチベーションについて興味をお持ちで、こちらの記事にたどり着いた方には、全部読むのは大変と思いますので、目次を参考に、気になったところだけでも読んでいただければ幸いです。
お子さまは勉強を頑張る理由を持っていますか?
私たち大人でも、理由がないのに何かを頑張ることは難しいのではないかと思います。少なくとも私自信は、頑張っても頑張らなくてもどちらでもいいのなら、他に頑張るべきことに時間や労力を使いたいと考えてしまいます。
子供ならなおさらではないでしょうか。ただただ親が「頑張りなさい!」「勉強しなさい!」と言うだけで、「うん、わかった!頑張る!」とはならないように思います。
親目線で子供に中学受験を頑張ってほしい理由はいろいろあるとは思います。大学受験に有利だとか、同じような志を持つ仲間に囲まれた環境で中学高校生活を送ってほしいとか、あるいは、公立中学を避けたいとか。全ての家庭に当てはまる唯一の正解はないと思いますし。どれでもいいのだと思います。
ただ、それらの理由は、お子さまに同意されているでしょうか?
同意されていないのであれば、残念ながら、中学受験を目指す理由が親の一方的な押しつけになってしまっていて、お子さまからすると頑張る理由になっていないかもしれません。
夢を持っている子供は強い
どうすれば、親の考えに同意してもらえるか。究極的には、「子供に夢を持ってもらうこと」ではないかなと考えています。そして、その夢を実現させるためには、実は、中学受験が近道であることを説明するという考えです。
サピックス、早稲アカ、四谷大塚、日能研の入試報告やホームページ、年度明けのプレジデントファミリーやAERA with Kidsなどの教育系の雑誌を読むと、子どもたちの中学受験の合格体験記が掲載されています。すると、多くの場合、将来の夢が記載されています。
これらを読んでいて、これまでに何度も感心したものですが、職業で言うと医師、法曹、研究者など、場所でいうと国連や米国・欧州などの海外あるいは発展途上国など、多くの子どもたちが、志の高い夢を持っていることがよくわかりました。
これらの子どもたちは、きっと、夢を現実にするためには、難しい資格をとったり難しい大学に行ったりしなければならないことを知っていて、あくまでその第一歩として中学受験を頑張るべきなのだと、自分自身で納得して戦ったのだと思っています。
よく考えてみたら、勉強だけではないですよね。スポーツの世界においても、成功している多くの方が、実は小さい頃から夢に向かって努力し続けたという話がたくさんあると思います。
夢を持っていると強い。そんな気がします。
勉強を頑張る意味を言葉と行動で示す
とはいえ、子供に「夢を持とう!」と言っても、そうそう夢なんてすぐには出てこないかもしれません。
となれば、夢を持つのは今後の課題としていったん置いといて、「今、勉強を頑張ると、どういいことがあるのか」、親の考えに同意してもらえるよう、きちんと伝える必要があるのではないかと思います。
たとえば、親として大学受験で有利な中高一貫校に行ってほしく、子供に中学受験を頑張って欲しいとします。私たち親は、「学歴で全て解決するわけではないけれど、学歴があって困ることはないし、ないよりもあったほうが何かと有利で良いのだろう。きっと、子供の将来に良いことのはず!」と思っている人が多いのではないかと思います。
そこで、「将来、就職や大学受験で有利になるから頑張ろう!」と説明します。でも、これだけで子供に納得してもらえるでしょうか。
私の娘は、今はこれで概ね納得してしまっているのですが、全ての小学生が理解して納得できる理由にはならないような気がいたします。
娘について正確に言うと、なにやら夢を持ってはいるようですが、「もう絶対それしかない!」という夢ではなさそうです。そして、この先、他にもやりたいことが出てきて、夢のことはすっかり忘れてしまう可能性はいくらでもありそうという印象です。そういう意味では、合格体験記でみるような子供たちとは程遠くはあります。
そこで、私は、娘に、「夢の実現の可能性を高めてくれる」「違うことを目指すことになった場合に、それを目指せる可能性が高くなる」と説明しています。つまり、勉強を頑張ることで、「今、あるいは、将来やりたくなったことを、実際にできる確率が高くなる」ということです。
一方で、娘から見たら、おそらく、私は受験を一度もしたこともないわりには、人生が比較的うまく行っているように見えてしまっている気がします。そのため、「自分の場合は、ただただ運が良かった」とも伝えています。
娘に「じゃあ、頑張らなくても、運任せでいいじゃん」と思われないのは、私も社会に出てからは色々と頑張ってきているつもりで、娘は英語やらMBAやら、あるいは、中学受験の算数・国語などなど、机に向かって黙々と勉強している私を見てきているので、「やりたいことをやろうとすると、大人でも勉強するのだ」ということを感じ取っているのではないかと思います。親が頑張る背中を見せることは、子供にとって意外と重要かもしれません。
このような背景があるため、娘は「将来のために、今、頑張る」大切さを、ある程度理解しているのだと思います。
しかしながら、「今は別のことが楽しいから、今は頑張らない」が、むしろ普通の小学生なのだろうと思います。このような場合は、次の手を考える必要がありますね。
内発的動機づけと外発的動機づけ
頑張ることができる理由のことを「動機づけ」と呼びますよね。一般的に、「動機づけ」は、自分の中から生み出される「内発的動機づけ」と、外から与えられる「外発的動機づけ」に分けられる事が多いようです。
ただ、私は、個人的に、頑張った結果としてもらえるものを考えて、より教科書的で直接的な表現である「内的報酬」と「外的報酬」という表現がわかりやすいと思っています。「内的報酬」とは、きっと自分のためになるという実感に基づく動機づけのことであり、「外的報酬」とは、自分以外の人から何かをもらえるという期待感に基づく動機づけであると理解しています。(後半では、「外的報酬」の方を使わせていただいています)。
中学受験の世界では、だいたい、「内発的動機づけ」が必要で、「外発的動機づけ」はダメとされていると思います。2つの境界は、人によって多少考え方が違うとは思いますが、大体以下のような感じではないかと思います。
内発的動機づけ
- 勝ちたいから頑張る・負けたくないから頑張る
- 成長したいから頑張る・頭が良くなりたいから頑張る
- 親を喜ばせたいから頑張る
- 面白いから頑張る・興味があるから頑張る
外発的動機づけ
- 認めてもらいたい・褒めてもらいたいから頑張る
- ごほうびをもらえるから頑張る
- 友達がやっているから頑張る
- 怒られたくないから頑張る
- 強制されているから頑張る
「友達がやっているから負けないように頑張るぞ!」とか、「親に褒めてもらえるように成長したい!」ということもあるわけで、単純な2次元ではないように思いますし、厳密に考える必要はないと思います。
大事なことは、「これらのうち、お子さんがいくつの動機づけを持っているか?」ではないかなと思います。「怒られたくない」、「強制されているから」、という動機づけはないほうが良いとは思いますが、それ以外は、基本的にたくさんあればあっただけ良いのではないかと思っています。
「勝ちたい・負けたくないし、成長したいんだよね。やっぱり頭良いほうが世界広がるし。というか、単純に興味があるし、面白いんだよ。自分の好きにやってるだけなのに、親は喜んでくれるし。」なかなかいないと思いますが、こんな子がいたら、受験どころか、きっと人生がうまくいく気がしませんか?
すでに内発的動機づけを持っているなら、それを後押しするだけで子供はやる気をさらに出すのではないでしょうか。
内発的動機づけを持つお子さんへの後押し
まず、「勝ちたい子」の場合です。
よく、成績を他人と比較してはならないと言われますが、勝ちたい・負けたくないから頑張るというのであれば、思う存分競争させれば良いと思っています。もっとも、娘が低学年のころは、そう思ってよいのか自信がありませんでした。
人は、まず間違いなく、中学以降は大人になってもずっと何かしらの競争にさらされるわけですが、小学生のうちから、しかも低学年から競争心が高いことはよくないのではないかと考えていました。娘は低学年の頃からあきらかに負けず嫌いだったので、気になっていたのです。
しかしながら、日能研と早稲田アカデミーの無料模試の相談に乗じて、両方の塾の先生に聞いてみたところ、「競争心はあればあっただけよい」と言っていたので、以降、気にすることはなくなりました。
校舎内順位を気にするのでも良いでしょうし、知っている人同士だとちょっと・・ということであれば、仮想ライバルを設定するのも良いと思います。早稲田アカデミーではカリキュラムテストと組分けテストで実名つきで順位がでます。娘は、会ったことも見たこともない「〇〇校の〇〇ちゃん、すごい」とか「今回は○○ちゃんに負けた!」とかやってますね。他の人と比べるのはやはり躊躇うというのであれば、過去の自分と戦うこともできますね。
繰り返しになりますが、競争心が強いお子さんの場合です。競争心が低い、やる気があまりない子に対して、他人や過去の自分と比較するのは、さらにやる気を削ぐ原因となってしまうと思います。
次に、「成長を望む子供」の場合です。
成長したいから・頭が良くなりたいから頑張る子であれば、目標設定と目標管理が良いと思います。
最近では、目標管理(MBO:Management by Objectives)を業績評価に使っている企業も多いとどこかで聞いた記憶がありますが、そこそこ頑張れば達成できる目標よりも、夢物語ではなく現実的ではあるけれど相当に頑張らないと達成できないような目標の方が、人は頑張れるし成長することがわかっているようです。ポイントは頑張る人自身が目標設定に参加することです。
つまり、親が一方的に用意するのではなく、子供と一緒に合意できる高めの目標を設定し、さらには、そのままにするのではなくその進捗を管理していくことになります。子供の成長欲を満たすレールを敷くのは、比較的やりやすいような気がいたします。
勉強ではなくスポーツですが、娘が習っている球技でコーチをしています。ある学年を教えることになり、はじめは同じ地区の別のチームにボロ負けで、あまりにもレベル差があり私も驚いたものでした。でも、子どもたちが上手になって勝ちたい意思をもっていることがわかったため、そのボロ負けにされたチームのレベルを照準に1年後に勝つことを目標に、今、そして、○か月後に何ができている必要があるかなど、マイルストーンを設定しつつも微調整しながら練習を続けていたら、本当に勝つことができてしまいました。子供に意志があれば、まず機能すると思います。
あとは、成長も頭を良くすることも、視野を広げたい気持ちの表れと思いますので、世の中の情報をどんどん与えることでやる気をさらに加速させられるのではないかと思います。たとえば、子供向けの新聞はとても良くできていて無理なく読めるのでおすすめです。娘も、毎日小学生新聞と読売KODOMO新聞をいつも楽しみにしています。子供が行きたいところには、どんどん連れて行ってあげたいですね。
あとへ、最近はテレビ番組で高学歴な方々が教養を競うような番組もあるので、子供に見せて憧れさせるなどという作戦もとれますね。娘は興味がないようですが。。。
そして、「親を喜ばせたいと思っている」子です。
親を喜ばせたいから頑張るという子、いろいろな中学受験の本を読んでいる限りだと、実は少なくないようですよ。人を喜ばせるために頑張れるなんて、これも人生がきっとうまくいく才能を持っていますね。
でも、私達からはなかなか見えにくい動機ではないかと思います。心のなかでは親に喜んでほしいと思っている子供を、そんなことはつゆ知らず理不尽に叱りつけてしまうと、たやすく動機を失ってしまうかもしれないですね。伸ばすよりも、壊さないように気をつけたい動機ではないでしょうか。
「面白いから頑張る・興味があるから頑張る子」は最強ではないでしょうか。
早稲アカの娘のクラスにも、やたら地理に詳しくて、喋りだすと止まらなくて先生に注意されるほどの子がいるそうです。
小さい頃から時間さえあれば図鑑ばかり読んでいて、たいして勉強しなくてもいつも高得点、などという話を見聞きします。この手の話、ホントかな?と思った時代もありましたが、今は本当なのだと思っています。
面白いと思っている・興味を持っているということは、もはやそれは勉強ではなく、趣味のようなものだと思います。もしかすると「趣味は勉強です」というとヒソヒソされてしまうのが一般的かもしれませんが、堂々としていればよいですよね。ほとんどの人が、1つや2つは「あれは何が楽しいのだろう?」と疑う趣味、あると思います。でも、趣味は自由です。
こう見てみると、そして、娘について分析してみると、やはり組み合わせだろうなと思います。
私の娘は、理科は動物や植物の範囲を除いて、かなり興味を持って楽しんでいるようです。社会も比較的興味が高いですが、これは勉強というよりも大量に保有している学習まんがの影響な気がします。あとは、理社については、毎日見ても追いつかないくらい録画しているNHKの番組の貢献が大きいと思います。
算数も解けると楽しいようですし、特に図形などはパズル感覚で好きなようですね。解けないと嫌いになる、解けると好きになるというのはあると思います。親としては、やる気を優先するなら難易度調整が大事ではないかと思います。
一方、国語は必ずしも楽しんでないと思います。ただ、4科の一番の課題となっていて、「勝ちたい!1位がいい!」とか言う娘なので、競争心が原動力になっていると思います。ちなみに、こういう場合、慰めは動機づけの面からは逆効果となることがありますね。慰めるくらいなら、次の一手の提案のほうが嬉しいようです。
ちなみに、「趣味の1つに勉強は入る?」と聞いたら、「それはヤダ」だそうです。・・・まだその域ではないようです。
外発的動機づけ(外的報酬)の特徴
ここで冷静になってみると、「今は別のことが楽しいから、今は頑張らない」の場合はどうするのよ、という話でした。
そもそも、内発的動機づけで勉強できるのであれば、すでに「やらされている感」が限りなく小さいことを意味しています。「勝つことやら成長やらが、すでに子供の動機づけになっていれば、それは苦労しないでしょうよ」というはなしですね。
い、一応、これまでは動機づけの整理ということで。
どちらかというと、これまでの話よりも、ここからが大事な気がしますが、力尽きました。。。
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