サピックスは御三家の合格者数だけでなく、合格率も高いのか?
前回の概要
まずは、前回の記事のご紹介です。サピックスから最難関校に合格する人数の多さは誰もが感嘆するところですが、受験者数や合格率については謎に包まれています。一方で、特にサピックス以外の塾に通っている場合、サピックスの合格者数ではなく、受験者数、合格率が知りたいというところから検討を始めました。
毎年あたりまえのように圧倒的な合格者数を叩き出していて、中学受験塾は1強とか一択とも言われているSAPIX。誰もがサピックスのテキストは優れているといい、志望校別の土特やSSを絶賛している。サピックスに通っていれば、サピックスを信じてついていくことさえできれば、市販教材など他のことに手を出さなくても最難関校に合格できる。こんな感じのイメージを、私も持っています。
通塾前は親のサポート力の自信のなさと家からの距離で、そしてもちろん雰囲気や娘の印象などでマイナスの問題がなかったことから、早稲田アカデミーを選びました。今は、さんざんお世話になっている早稲アカには申し訳ないですが、「あぁ、近くにあれば、サピックスにしてたなぁ。」と思うことがときどきあります。私にとって、「これだけやれば大丈夫」という安心感と、「これだけではダメなのかも」を考えなければならない中で学習を進めるのでは大きく異なるためです。
でも、一方で気になる点もありました。本当にイメージ通りであるなら、きっとサピックスの合格率は他塾に比べて圧倒的に高いはずです。ぜひとも、サピックスのホームページで開示されている合格者数ではなく、受験者数、合格率を知りたいと思っていました。でも調べてみると、全くといっていいほど情報が出てこなくて困ったものでした。
そこを何とかするため、ImageJを使った画像解析の手法で、2022年のSAPIXの合格率を無理やり推定したのが前回の記事でした。
方法の詳細は前回の記事を参照いただくとして、簡潔に書くと、筑波大付属駒場、開成、麻布、駒場東邦、慶應普通部、桜蔭、女子学院、雙葉の8校について、合格力判定サピックスオープンにおける合格者・不合格者の分布を示したグラフを用いました。
グラフの横軸と合格者のグラフで囲まれた面積(積分値)を合格者数とみなし、サピックスのホームページで公開されている合格者の実数を使って、解析した面積比から比例計算して、不合格者数、総受験者数、合格率を推定しました。
今日は、その続編として、2022年だけでなく、2021年と2020年も解析して計算してみたのでその紹介となります。
2021・2020年の追加解析の結果と考察
まず、画像解析の結果です。
2022 | 2021 | 2020 | ||||
合格者面積 | 不合格者面積 | 合格者面積 | 不合格者面積 | 合格者面積 | 不合格者面積 | |
筑駒 | 114213 | 174579 | 89325 | 200608 | 85871 | 192960 |
開成 | 212989 | 169731 | 195849 | 181261 | 200485 | 177742 |
麻布 | 188024 | 182658 | 216969 | 162108 | 178219 | 191867 |
駒東 | 262407 | 119368 | 223361 | 163335 | 223470 | 148110 |
慶普 | 201533 | 172236 | 211370 | 187490 | 163297 | 213835 |
桜蔭 | 254865 | 128751 | 226391 | 163964 | 227215 | 147936 |
JG | 157687 | 225480 | 196477 | 182123 | 189632 | 192379 |
雙葉 | 143795 | 182964 | 119302 | 208726 | 165248 | 217156 |
合格者面積:ImageJによる解析結果
不合格者面積:ImageJによる解析結果
役に立つ数値ではないかもしれませんが、私なら、合格率などがいきなりポンと出てきても信憑性がないと考えるので、一応、記しました。
そして、3年分の合格者数、不合格者数、受験者数、そして、合格率です。横に入り切らないので1年ずつとしました。
2022 | 合格者数 | 不合格者数 | 受験者数 | 合格率[%] |
筑駒 | 104 | 159 | 263 | 39.5 |
開成 | 283 | 226 | 509 | 55.7 |
麻布 | 192 | 187 | 379 | 50.7 |
駒東 | 199 | 91 | 290 | 68.7 |
慶普 | 141 | 121 | 262 | 53.9 |
桜蔭 | 187 | 94 | 281 | 66.4 |
JG | 128 | 183 | 311 | 41.2 |
雙葉 | 57 | 73 | 130 | 44.0 |
2021 | 合格者数 | 不合格者数 | 受験者数 | 合格率[%] |
筑駒 | 86 | 193 | 279 | 30.8 |
開成 | 269 | 249 | 518 | 51.9 |
麻布 | 207 | 155 | 362 | 57.2 |
駒東 | 172 | 126 | 298 | 57.8 |
慶普 | 132 | 117 | 249 | 53.0 |
桜蔭 | 160 | 116 | 276 | 58.0 |
JG | 145 | 134 | 279 | 51.9 |
雙葉 | 54 | 94 | 148 | 36.4 |
2020 | 合格者数 | 不合格者数 | 受験者数 | 合格率[%] |
筑駒 | 94 | 211 | 305 | 30.8 |
開成 | 286 | 254 | 540 | 53.0 |
麻布 | 183 | 197 | 380 | 48.2 |
駒東 | 183 | 121 | 304 | 60.1 |
慶普 | 104 | 136 | 240 | 43.3 |
桜蔭 | 172 | 112 | 284 | 60.6 |
JG | 148 | 150 | 298 | 49.6 |
雙葉 | 61 | 80 | 141 | 43.2 |
2022年合格者数:サピックス発表から引用
2021・2020年合格者数:SAPIXERから引用
不合格者数(推定値):合格者数÷合格者面積×不合格者面積
受験者数(推定値):合格者数+不合格者数(推定値)
合格率(推定値):合格者数÷受験者数(推定値)
サピックスの実績ではいつも合格者数が目立っていますが、一歩引いてみてみると、やはり不合格者数も多い印象を受ける数字となっています。
他塾と比べて群を抜いて多い合格者数から、サピックスは中学受験界ナンバーワンの座を今後もずっと維持し続けるのだとは思いますが、もしかすると、不合格者数も群を抜いて多い可能性もあるのかもしれません。
もっとも、難関校やら最難関校と呼ばれるような、入るのが難しい中学校では、受験する成績に達することすら容易ではないわけですので、これだけたくさんの受験者数がいるということ自体が、サピックスの凄さなのだと思います。
さて、上の表は少々見にくいので、合格率を抽出した表にしてみます。
合格率 | 2022 | 2021 | 2020 | |||
合格者数 | 合格率[%] | 合格者数 | 合格率[%] | 合格者数 | 合格率[%] | |
筑駒 | 104 | 39.5 | 86 | 30.8 | 94 | 30.8 |
開成 | 283 | 55.7 | 269 | 51.9 | 286 | 53.0 |
麻布 | 192 | 50.7 | 207 | 57.2 | 183 | 48.2 |
駒東 | 199 | 68.7 | 172 | 57.8 | 183 | 60.1 |
慶普 | 141 | 53.9 | 132 | 53.0 | 104 | 43.3 |
桜蔭 | 187 | 66.4 | 160 | 58.0 | 172 | 60.6 |
JG | 128 | 41.2 | 145 | 51.9 | 148 | 49.6 |
雙葉 | 57 | 44.0 | 54 | 36.4 | 61 | 43.2 |
合格率をざっくりとまとめてみると、
筑波大付属駒場:30~40%(3.1、32.3%)
開成:50~55%(4.0、25.0%)
麻布:50~60%(3.1、32.3%)
駒場東邦:60~70%(2.4、41.7%)
慶應普通部:45~55%(3.4、29.4%)
桜蔭:60~70%(2.4、41.7%)
女子学院:40~50%(3.2、31.3%)
雙葉:35~45%(3.8、26.3%)
となりました。カッコの中は、左が2022年の倍率で日能研公開情報からの引用です。右は、その逆数で全体合格率(?)です。
他の塾の合格率と並べないと優劣はよくわからないですが、どうみても総じて高そうですね。ためしに、各校の2022年サピックス合格率と全体合格率の比をとってみると、
筑波大付属駒場:1.2
開成:2.2
麻布:1.6
駒場東邦:1.6
慶應普通部:1.8
桜蔭:1.6
女子学院:1.3
雙葉:1.7
となりました。
例えば、男子のあこがれ開成中学を見てみると、何も考えずに2022年合格率の56%だけを見ると、「ふーん、半分ちょっとか・・・」ですが、倍率4.0倍、全体の合格率が25.0%であることを考えると、これは、かなりの実績と考えることができそうです。
これを早稲アカ(や、日能研)と比べるとどうなるかが、気になるところです。でも、知りたい早稲アカのデータがほとんどなくて比較のしようがないという。。。
という状況の中、SAPIXのグラフを見ていて、成績的にかなり厳しい子が果敢に挑戦して不合格となっている不合格者数の多さが少し気になり始めました。グラフを解析すれば、20%で挑戦している子だけでなく、過去の結果を見る限り、合格可能性が0%でもあるにも関わらず挑戦している子もかなり多そうです。このあたりをもう少し見てみようかなと思っています。
なぜそこが気になるかというと、もちろんサピックスのマイナス面を見つけようとしているためではありません。サピックスは他の塾に比べて、実績を維持すれば十分である状況でしょうし、同僚の話を聞く限りは、かならずしも可能性が低い子に挑戦を無理強いすることはない印象を持っています。
それでも難しい挑戦をしようとするのは本人か親の意向だろうとは思いますが、SAPIXを意識する早稲田アカデミーは、もしかすると子どもたちに無茶させる受験を進めてくる傾向があるのかも?とも考えられます。
少なくとも、今、娘が通っている校舎の先生の雰囲気からは、そのような傾向は感じられないのですが、NN関連では必死に他塾生を優遇するような話も見聞きしますし、公開されている入試関連データは、サピックスや日能研に比べると貧弱極まりないです。特に、NN関連の公開データの見せ方が、年や中学校によって大きく異なり、よく見せるためか、あれこれ加工しているように見受けられるあたり、あまり良い印象をもっておりません。
ということで、春休みも終わり、通常授業が始まるので、娘の学習の準備で大忙しではありますが、時間を見つけて調べていきたいと思います。
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